こんにちは。
sukiyaki-kです。
先日読んだ短編集の中に、ちょっと心に刺さる物語がありました。
女性同士の友情のお話。
10代から20代の方向けなのかもしれませんが
自分自身の青春時代を思い出して、
主人公と重ね合わせて考えてみたり
「今も、そんなに変わらないなぁ」なんて、自分を振り返ってみたり。
「はじまりの一歩」
という短編集の中に収録されている
「瞬間、金色」
という作品で、著者は「豊島ミホ」さん。
同じ秋田の出身ですが、私よりも10歳若いです(笑)
主人公が中学2年生で新しい学校に転校をするところから物語が始まります。
親の仕事の都合で転校には慣れている主人公「シンジュ」。
どこへ行ってもそれなりに人間関係もうまくやります。
ですが、「ナナミ」という一人の同級生と出会い、変わっていきます。
ナナミはクラスで浮いた存在でした。
ある日、ナナミと話をしている時に、
「これからもうまくやっていけばいいじゃん」と言われ
シンジュは前の学校でいじめをしていた時のことを思い出します。
そして、思うのです。
「自分が生きるために平然と誰かを切り捨てる。(中略)
私はいつまでも適所をとるために集団の中で人を蹴落とし続けるんだろうか」
自分のこれまでの行動に疑問を感じ、これからのことを考えたシンジュは
ナナミといることを選びます。
そして、ナナミとくっついたり離れたり、青春時代を共に過ごしながらも
連絡を取り合わない時期もありつつ
20代前半でナナミが母親になります。
物語のラスト、シンジュは母になったナナミに会いに行きます。
スクーターに乗ってナナミとの思い出を振り返り
それぞれに浮き沈みがあり「沈み」の時期は電話し合った。
私たちはなんて、ばかで、かわいそうで、ちっぽけなんだろう。
そんなことを考えながら「イモ天」をお土産にナナミのもとを訪れます。
そして一緒に生れたばかりの赤ちゃんを見て感動をする。
そこで物語は終わります。
これからまだまだ、二人の世界は続くのでしょうが
読者は二人のこれからを想像するだけです(笑)
作者の豊島ミホさんは
「女による女のための『R-18』文学賞」で読者賞を受賞してデビューされていて
「やさぐれるには、まだ早い!」などのエッセイ集も人気だとのことで
これから読みたい作家さんです。
今回読んだ『瞬間、金色』の中の
「自分が生きるために平然と誰かを切り捨てる。(中略)
私はいつまでも適所をとるために集団の中で人を蹴落とし続けるんだろうか」
この言葉、すごく私には刺さりました。
実際、似たようなことをしてきたと思います。
集団の中で、自分が外されないように、浮かないように
同調圧力に屈してばかりの自分。
大なり小なり、人にはそのような部分はあると思うのですが
自分の中の「善」を貫いたシンジュはすごいと思うのです。
二人の関係について
「それぞれに浮き沈みがあり「沈み」の時期は電話し合った。」
明確に表現した一言だと思いました。
幸せな時には連絡はないけれども、
寂しいとき、辛い時には頼りたくなってしまう。
そして、頼られたら助けてあげたくなる。
そんな自分たちを
「私たちはなんて、ばかで、かわいそうで、ちっぽけなんだろう。」
シンジュはそう捉えます。
これにもとっても共感したました。
私は今でも、自分をそう思っています。
ただ、年を取ったらその後ろに、
「生きていることに感謝(^^♪」
ってつくようになりました(笑)
ここまで読んでいただいてありがとうございました。