sukiyaki-k’s diary

アラフィフからのやり直し人生。日々のことや黒歴史など思いつくままに綴っていきます。

闘病しながら幸せに生きた女性の記録

こんにちは。

sukiyaki-kです。

 

パソコンの調子が悪く、初期化してみたらオフィスの「ノート」に保存してあった

観た映画の記録、読んだ本の記録、全部なくなってしまっていました( ;∀;)

私のようなアナログ人間は、大事な記録は紙媒体での保存が安全と思った次第です。

 

今日は患者さんから勧められた本のご紹介です。

「ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記」 

遠藤和(えんどうのどか)著

 

これは実話で遠藤和さんの日記をまとめた本です。「はじめに」と「おわりに」は夫である遠藤将一さんが、亡くなる前の11日間の日記は妹さんが書かれています。

 

著者の遠藤和さんは24歳で大腸がんのため、天国へ旅立ちました。

テレビ番組「笑ってこらえて」の結婚式の旅に出演なさった方なので、ご存知の方も多いと思います。

遠藤和さんは旧姓、櫛引(くしびき)さん。

19歳で遠藤さんとの交際が始まり、

(交際中も結婚してからも、夫の将一さんの呼び方はずっと遠藤さん。これには理由があるのですが、その理由は本の中に書かれてあります。)

21歳のときに大腸がん(ステージⅣ)と診断され、抗がん剤治療が始まります。

ちょうど結婚を意識した頃の突然の病気、

和さんは別れを決断するものの

遠藤さんは「絶対、別れない」と断言し、結婚。

抗がん剤治療を続ける必要のある和さんですが

和さんには、「子供を産んで母になりたい」という夢がありました。

妊娠中は、抗がん剤治療はできません。

当然、周囲の方々は反対します。

「できるかできないかわからない子供を待つよりも

和さんに生きていて欲しい。

抗がん剤治療をやめている間に、癌が進行したら・・・」

ご家族の不安も理解できますが、

和さんの夢を諦めたくない気持ちもわかります。

最終的に、和さんの夢は叶えられました。

その後は、遠藤さん、櫛引家の方々が皆で協力して

育児、看病に当たります。

遠藤さんは、有効な治療法を求めて東京へ転勤、

その後、櫛引家の方々も地元の家を引き払って上京し、和さん家族を支えます。

家族の誰かが困っていたら、家族全員で全力で助ける。

和さんのご家族は

言葉でなく、行動でそれを示していました。

そして、和さんも周囲の期待に応えようと頑張り

生きたいと心から願い、懸命に治療に向き合いました。

 

この本は遠藤和さんの娘さんのために

ママの記録を残すために作った本だと遠藤さんは書かれています。

ですが、娘さんだけでなく、読んだすべての人に素晴らしい贈り物をしてくれたと感じています。

 

日記なので、その時、その時の感情がストレートに表現されていて

著者の和さんの気持ちを追体験するような気持ちになります。

闘病中、言われたくなかった言葉なども、正直に書いてあります。

「生きてるだけで丸儲け」って、抗がん剤治療の副作用で苦しんでても、そう言える?

痛いし、辛い。頑張って生きなきゃダメだって言われなくてもわかっている。弱音くらい吐かせて。

最近、会いたいって言ってくる人が多い。死ぬ前に会っておきたいってことなんだろうと思う。嬉しいけど、みんな私が死ぬと思ってるんだね。遠藤さんだけは「治る」って信じてくれている。それが大きな心の支え。

弱音を吐いた後は自己嫌悪になって落ち込む。

一つ一つの言葉が、心からの言葉だと感じました。

物語ではない、実際に体験している人の言葉だからこそ

ひとりの人間として、母として、看護師として、心を揺さぶられましたし、

遠藤さんが書かれた「おわりに」は涙をなくしては読めませんでした。

和さんが生死を彷徨っている中で、遠藤さんを気遣い

「大丈夫だよ。治るよ」と言って遠藤さんを励ましたというエピソードは

この先、私の心に残り続けると思います。

 

最後は「死」に向き合わなければいけないので

悲しい気持ちが前面に出てしまうのですが、

この本の中では、幸せだったこと、嬉しかったこともたくさん書かれています。

闘病の記録ではなく

闘病しながら、幸せに生きた一人の女性の記録として

紹介させていただきます。

とても優しい気持ちになれる本でした。

 

 

ここまで読んでいただいてありがとうございました。