「日傘のお兄さん」「猫のように」豊島ミホ著
おはようございます。
sukiyaki-kです。
先日、尊敬するブロガーの tamaminao (id:tamaminao)さんから
お勧めの本をご紹介していただきました♪
「日傘のお兄さん」豊島ミホ著
豊島ミホさんは秋田県出身の作家さんで、「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞されている方です。女性ならではの視点で女同士の友情や恋愛を描かれています。
「日傘のお兄さん」は短編集で、同タイトルの小説の他に
「バイバイラジオスター」
「すこやかなのぞみ」
「あわになる」
「猫のように」
の4つの短編小説が収められています。
「猫のように」以外は10代から20代の女の子の恋の物語ですが
必ずしもハッピーエンドでないところも良かったです。
(文庫本と単行本では中身がやや違うらしく、私が読んだのは単行本です。)
「日傘のお兄さん」は少しミステリアスな作風で、読み手を飽きさせません。
中学生の主人公を取り巻く同級生の善意からの行為が特定の個人を傷つけていたり、
傷つけられたり。
人を好きになる気持ちの葛藤やネット社会の怖さなど、
短編小説としては長めの122ページにぎっしり詰まっています。
若い女性の恋心を読み、
「打算などなく、ただ単純にその人が好き。そばにいるだけで幸せ。」
という気持ちを懐かしく思いました(笑)
最後の短編「猫のように」は40代の独身男性が主人公。
自由気ままに独り身でいることを心地良いと思い、
結婚せず、友人もつくらず、何の不満もない、と思い込んで生活をしていたが、
あることをきっかけに、自分の中の「淋しさ」に気が付く。
というストーリーで、年齢が近いせいか、こちらの小説は他人事ではないぞと思いました。
私自身、自分のペースというものがあり、このペースを乱されるのはとても嫌なのです。ペースを乱されて嬉しい人はいないと思いますが(笑)
離婚して、母娘2人の生活になれているので、この先娘が家を出て
私が1人になって、淋しと思った時に誰かと一緒の生活に耐えられるのか!?
それ以前に、人との付き合いを避けている部分があるので
淋しいと思った時に、誰かそばにいてくれる人はいるのだろうか・・・
甚だ疑問です。
かといって、将来自分が寂しいときに側にいて欲しいから、という理由で誰かと親しくなるものも、なんか違う気がします。
私も主人公と同じ「淋しい人間」なんだなぁ(笑)
瀬戸内寂聴さんの
「人は生まれてくるときも、死ぬときもみんな一人。」
という言葉が浮かびました。
「人の間と言書いて人間。これは人は人々の間でしか生きられないということなのでしょう。人と人の交わりの中に人の暮らしがある。それでいて結局人はひとり。
人間は孤独なのです。」
寂聴九十七歳の遺言より。
人は他人との関わり合いの中でしか生きられないけれども、それでも孤独な生き物であるという矛盾がなんとも歯がゆいです。ですが、皆が孤独なのだと思うと救われる部分もあります
作家の大崎善生さんの小説には「孤独」というワードが多くでてきます。
「人間にとって最大の敵は孤独」
とも書かれていました。
人はみんな孤独を抱え、孤独と戦ったり、受け入れたりしながら
自分なりの孤独との付き合い方を模索して足掻くのかな。
と、20ページ足らずの小説を読んで、妄想を膨らませたのでした(笑)
こちら地方、とうとう雪が積もりました。
寒いですが、今日も一日良い日でありますように☆
ここまで読んでいただいてありがとうございました。